目次
部下が離れていく上司の特徴
部下から信頼されることはマネジメントの基本です。しかし、自分では良かれと思っていても、知らず知らずのうちに部下との信頼関係を損なう行動をとっている可能性があります。部下が離れていく上司には、いくつかの共通した特徴がみられます。
自分の行動を振り返り、改善すべき点がないか確認してみましょう。
特徴1|感情的になりやすい
その日の気分によって態度が大きく変わる上司は、部下にとって非常に対応が難しい存在です。昨日はにこやかだったのに、今日は怒りっぽくなっていると、部下は常に上司の機嫌を伺うようになります。
このような予測不可能な態度は、部下に不安や緊張をもたらし、自分の意見を自由に発言できない雰囲気を作り出してしまいます。感情のコントロールができない上司の下では、チームの創造性や生産性が著しく低下する傾向があるのです。
特徴2|他者に責任を押し付ける
プロジェクトがうまくいかなかったとき、「景気が悪い」「納期が短すぎた」など外的要因を責めたり、「君のレポートが遅れたから」と部下に全責任を押し付けたりする上司は信頼を失います。
真のリーダーは、成功したときはチームを称え、失敗したときは自分の責任として受け止める姿勢を持っています。責任転嫁する上司の下では、部下は自分のミスを隠すようになり、組織全体の成長が妨げられるでしょう。
特徴3|部下の話を聞かない
「後で聞くから」といったまま忘れてしまったり、「わかっている」と部下の意見を最後まで聞かなかったりする上司は、部下の意欲を著しく低下させます。話を聞いてもらえない経験が続くと、部下は「何をいっても無駄だ」という諦めの気持ちを抱くようになるのです。
また、自分が常に正しいと思い込み、部下の意見や提案を軽視する姿勢も、部下のモチベーションを大きく下げる要因となります。コミュニケーションは一方通行ではなく、双方向であることを忘れてはいけません。
特徴4|高圧的な態度を取っている
威圧的な態度や言葉遣い、強制的な指示ばかりする上司の下では、部下は萎縮し、創造性を発揮できません。また、部下の成果や努力に対して「ありがとう」と感謝の言葉を伝えない上司も、部下の心を離れさせてしまいます。
高圧的な雰囲気は、チーム内のコミュニケーションを阻害し、部下は必要最低限の報告しかしなくなり、重要な情報が上司に届かなくなるでしょう。
特徴5|部下の評価基準が不明確である
評価基準があいまいだったり、個人的な好き嫌いで評価が左右されたりすると、部下は不公平感を抱きます。「あの人はいつも評価が高いけど、なぜだろう」という疑問が生じると、チーム内の信頼関係が崩れていきます。
評価基準は明確で、全員に公平に適用されるべきです。また、評価結果についても適切なフィードバックを行い、部下の成長につながるようなアドバイスを提供することが重要です。
部下が離れていくのを防ぐには
部下との関係に亀裂が生じている場合、早めの対策が重要です。信頼関係が崩れると、チームの生産性低下や離職につながりかねません。マネージャーとして意識的に取り組むべきポイントをみていきましょう。
積極的にコミュニケーションをとる
部下との信頼関係構築の基本は、日々のコミュニケーションにあります。まずは部下が話しかけやすい雰囲気づくりを心がけましょう。忙しいときでも、部下からの相談には真摯に耳を傾け、否定から入るのではなく、まずは「なるほど」と受け止める姿勢が大切です。
定期的な1on1ミーティングを設定し、業務の進捗だけでなく、部下の考えや悩みを聞く機会を作りましょう。このとき、部下の意見を最後まで遮らずに聞き、その考えを尊重する姿勢をみせることで、部下は「自分の意見が価値あるものとして扱われている」と感じ、信頼関係が深まります。
コミュニケーション活性化のポイントについては、下記の記事を参考にしてください。
「成功事例から学ぶ|社内コミュニケーション活性化のポイント」
日頃から信頼関係を築く
部下との信頼関係は一朝一夕に築けるものではなく、日々の言動を積み重ねることで、上司としての信用や信頼につながります。約束は必ず守る、公平に評価する、困っているときには率先してサポートするなど、「頼りになる上司」としての姿勢を示しましょう。
また、心理的安全性の高い環境を整えることも重要です。ミスを責めるのではなく、「次に活かす機会」と捉え、部下が自由に意見を言える雰囲気を作りましょう。このような環境では、部下は自分のパフォーマンスを最大限に発揮できるようになります。
同じ目標・ビジョンを共有する
チームとして同じ方向を向いて進むためには、明確な目標とビジョンの共有が欠かせません。部下一人ひとりのタスク状況やスケジュールを把握し、困難があれば一緒に解決する姿勢をみせましょう。
目標達成に向けて上司自らが率先して行動することで、部下はその背中を見て「この上司と一緒に頑張りたい」という気持ちが生まれます。この共有意識がチームの結束力を高め、一体感のある組織を作り上げるのです。
上司自らも学び続ける
部下の成長を促すためには、上司自身が学びを止めない姿勢を示すことが重要です。マネジメントスキルや最新の業界動向について積極的に学び、自己研鑽する姿は部下の模範となります。
心理学的アプローチを取り入れたリーダーシップ研修やマネジメントセミナーなどを受講し、部下育成の新たな視点を得ることも効果的です。上司自身の成長が、部下との良好な関係構築につながるのです。
東京・ビジネス・ラボラトリー(TBL)の企業研修も、ぜひご検討ください。TBLでは、心理学のメソッドを使った独自のプログラムを多数用意しています。管理職プランでは、動じない力、ぶれない体質、全体を見渡す能力を開発します。気軽にお問い合わせください。
部下が離れないために必要なスキル
部下との良好な関係を構築し、彼らの成長を促進しながら組織の成功へと導くためには、上司として特定のスキルを身につけることが重要です。部下が「この上司と一緒に働きたい」と思えるようになるための鍵となる4つのスキルをみていきましょう。
リーダーシップ
優れたリーダーシップを持つ上司の下では、部下は自分の役割に自信を持ち、能力を最大限に発揮できるようになります。部下が迷いなく前進できるよう、明確なビジョンを示し、適切な方向付けをすることがリーダーシップの基本です。
また、リーダーシップとは単に指示を出すことではありません。ときには率先して行動し、困難な状況でも冷静さを保ち、チーム全体のモチベーションを高める存在であることが求められます。部下の強みを理解し、それを活かす場を提供することも、リーダーシップの重要な側面です。
ロジカルシンキング
論理的思考力を持つ上司は、複雑な問題を整理し、本質を見抜く力があります。課題の原因と結果の関係を明確に分析し、適切な解決策を導き出すことで、部下は「この上司の判断なら信頼できる」と感じるようになるのです。
逆に、指示や判断が論理的に一貫していない場合、部下は混乱し、上司への不信感を抱くことになります。ロジカルシンキングは、部下に的確な指示を出し、部下が効率良く業務を進められるようにするための必須スキルです。
決断力
チームが進むべき方向性を最終的に決めるのは上司の役割です。状況を分析し、ときには不確実性があるなかでも、適切なタイミングで決断を下す力が求められます。優柔不断な態度は、チーム全体の停滞を招きます。
重要なのは、たとえ決断の結果が思わしくなくても、その責任を部下に転嫁せず、自ら引き受ける姿勢です。「失敗は私の責任、成功はチームの功績」という姿勢を持つ上司は、部下からの信頼を得られます。
状況把握力
優れた上司は、目の前の出来事だけでなく、その背後にある本質を素早く見抜く力を持っています。社内外の情報を収集・分析し、将来のリスクを予測できれば、チームを危機から守れるでしょう。
状況把握力は、部下が抱える問題や悩みにも敏感に気づくことを可能にします。部下の微妙な変化を察知し、適切なタイミングでサポートすることで、問題が大きくなる前に対処できます。こうした先見性と洞察力が、部下の信頼を得ることにつながるのです。
まとめ
部下との信頼関係を損なう上司は、部下のモチベーションを低下させ、チームの生産性を阻害します。信頼関係を築くためには、積極的なコミュニケーション、約束を守る誠実さ、明確なビジョンの共有、従業員満足度の向上、自己研鑽が重要です。
また、優れた上司になるためには、リーダーシップ、ロジカルシンキング、決断力、状況把握力といったスキルを磨くことが不可欠です。
自分の行動を見直し、部下が「この上司と一緒に働きたい」と思える環境づくりに取り組みましょう。信頼される上司になることで、チーム全体のパフォーマンスが向上し、組織の成功へとつながります。