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ノンバーバルコミュニケーションとは
ノンバーバルコミュニケーションとは、言葉に頼らない意思伝達のことを指し、別名「非言語コミュニケーション」とも呼ばれています。具体例としては、動作行動・身体的特徴・接触行動などがあげられます。
意思伝達の一般的な手段は、発する言葉や書いた文章などの言語情報のみで意志を伝えるバーバルコミュニケーション(言語コミュニケーション)ですが、これだけでは言語化できない感情や本音などが十分に伝わらない場合があります。ノンバーバルコミュニケーションを活用することによって、こうした言葉にできない情報を補うことができるのです。
アメリカの心理学者アルバート・メラビアンが提唱したメラビアンの法則によると、コミュニケーションにおける93%をノンバーバルコミュニケーションが占めているとのことです。
このことから、ノンバーバルコミュニケーションの重要性を認識できます。
ノンバーバルコミュニケーションはなぜ重要?
ここからはノンバーバルコミュニケーションの重要性について、さらに詳しく解説します。
言語を補完できるため
言葉だけで情報を伝えようとしても、感情やニュアンスなどはなかなか伝わりきりません。しかし、ノンバーバルコミュニケーションを取り入れることで言葉だけでは伝わらない情報を補完できるため、相手に対して自分の意図をより正確に伝えられます。
例えば数値の変化を伝える場合、ただ数字を口に出すだけでは、その数値の意味合いまでを的確に理解させることは難しいですが、身振り手振りを加えることでその意味を伝達できます。
また、話している内容に合わせて表情も変えることで、より明確に真意を伝えられるのです。
相手の心情や状況を理解しやすくなるため
自分の心情や本心に反する言葉は、ある程度自分の意志でコントロールして発することができますが、表情や声色まで調節するのは至難の業です。そのため、相手の面様や声のトーンに注目することで、言葉にはしていない本音や気持ちを読み取ることができます。
例えば口では「大丈夫」といっていても、暗い面持ちであれば気分が落ち込んでいるはずです。反対に、言葉では「もう無理!」といいながらも、明るい笑みを浮かべていれば、本心は好意的に捉えているといえます。
このように、話し相手の心境をしっかりと把握するためには、会話の内容だけでなく、声や表情などにも意識を向けることが大切です。
信頼関係の構築に役立つため
笑顔で話せば、相手にも安心感を与えられるため、会話しやすい雰囲気をつくれます。親近感や安心感が高まりやすく、信頼関係の構築につながります。
逆に、無表情で会話をすると相手に不安感を与えてしまいます。どれだけ商品やサービスに魅力があっても不信感が勝り、相手も最小限のことしか話さなくなるでしょう。信頼関係の構築も難しくなります。
信頼関係の構築において、ノンバーバルコミュニケーションは不可欠な要素です。なぜなら、会話における安心感や親近感は、相手の表情や態度によって醸成されるためです。
例えばこちらから話す際、体をこちらに向けて笑顔で聞いてもらえたら、安心感から気楽に話すことができます。一方で、違う方向を向いて無表情で話を聞かれると、不安感に駆られて最小限のことしか話せなくなり、これ以上の関係性を築くことは期待できません。
この例から、コミュニケーションを通して信頼度を高めるためには、頷きをはじめとする聞き手側のノンバーバルコミュニケーションが必須であることが理解できます。
ノンバーバルコミュニケーションが活かせる場面
ノンバーバルコミュニケーションは、次のような場面で活かせます。
商談
商談は自社・取引先合わせて4~5人程度の少人数で行うのが一般的です。このような人数の少ない状況では相手の表情や仕草などを細かく見られるため、ノンバーバルコミュニケーションを存分に活かせます。
新商品のアピールなら、おすすめのポイントを大きめの声で説明したり、特別価格や待遇での交渉なら声量を抑えて「ここだけの話ですが」と相手の心を揺さぶる特別感を演出したりできます。
また、相手の態度や表情を観察すれば、興味の有無がわかり、お互い時間を無駄にすることもなくなります。ノンバーバルコミュニケーションは相手の気持ちも読み取れるのです。
プレゼン
プレゼンテーションをする際は、聴衆の視線が発言者に集中します。
上記で解説した通り、同じ話をしても、言葉だけで伝えられるのと、ジェスチャーや表情を含めて伝えられるのとでは、伝わる情報量が違います。発表者は身振りや手振り、話すスピード、表情、視線などの細部にまで気を配ることで、言語だけでは伝わりきらない想いや自信を伝えることができるのです。
研修
企業で行われる研修では、ほとんど初対面状態の参加者たちが、グループワークに取り組む場面が多くみられます。
チームで協力して課題をクリアするためには、参加者同士が短時間で親近感をもち、信頼関係を構築する必要があります。
このような場で明るい表情や振る舞いを意識すると雰囲気が和み、活発なコミュニケーションを促せるため、出された課題に対してもグループで積極的に向き合えると考えられます。
ノンバーバルコミュニケーションをする際のポイント
ノンバーバルコミュニケーションで、相手から好感を持たれるためにはいくつかのポイントがあります。具体的にみていきましょう。
声のトーンや速さ
話すスピードは聞き手側の印象を左右します。あまり速く話すと相手にとって聞き取りにくい上に急かされている気分にもなり、逆に遅く話すとイライラさせてしまいます。速すぎず遅すぎない速度で話すように意識しましょう。
話すスピードに加えて、声のトーンも意識してみましょう。明るい印象を与えたい場合は、通常よりも2トーン高い声を意識するのがおすすめです。
話をしている相手との距離に合わせて声のボリュームを変えるのも大切です。相手がすぐ近くにいる場合には、あまり大きな声だとうるさく感じられてしまうため、ややボリュームを落とします。逆に、少し離れたところにいる相手に話しかける際には、大きめの声を出しましょう。
また、重要なことを話すときや、難しい内容を話すときには、話す速さを落とすと、相手に理解してもらいやすくなります。その部分が重要だということも伝わりやすくなります。
視線や話す姿勢
会話をするときには相手の目を見るようにしましょう。目線を相手からそらしながら会話すると、不信感を抱かせてしまうおそれがあります。自分と会話をしたくないように受け取られてしまうこともあるでしょう。
目線を合わせると、相手に対して興味や好感をもっていると示せます。初対面であれば最も重要な信頼感を得られるノンバーバルコミュニケーションです。
また、姿勢も重要です。猫背になっていたり姿勢が崩れていたりすると、印象が良くありません。やる気がないと思われてしまいます。姿勢が良ければ、礼儀正しく誠実、自信があると好印象を相手にもたらします。
相手の目を見ながらきちんと背筋を伸ばして会話をすれば、相手にも真剣さや熱意が伝わります。
相手との距離感
会話をする相手との距離が離れすぎていると、相手は壁を感じてしまう場合があります。あまり関わりたくないと捉えられてしまうこともあり、信頼関係がなかなか構築されません。
逆に近づきすぎるのも、相手に居心地の悪さを感じさせてしまいます。不快に感じてしまう方もいるかもしれません。そのため、パーソナルスペースを超えない範囲内で、近い距離で会話するようにしましょう。商談相手や取引先など、ビジネスにおけるパーソナルスペースは1.2メートルから3.5メートルが適切です。
身だしなみ
コミュニケーションにおいては、身だしなみが相手の印象を大きく左右します。話している内容が良くても、身だしなみに問題があると、信頼してもらえません。その場に適した服装で臨むようにしましょう。女性の場合には化粧やアクセサリーなども重要です。派手すぎないか、一度振り返ってみましょう。
基本的には「自分はどう見られたいのか?」という点を明確にしておきます。例えば、真剣に話を聞いてもらいたいなら、シワのないスーツを着用しましょう。革靴もきれいに磨いておくと好印象です。
まとめ
言葉だけでは伝わりづらい商品やサービスの魅力をアピールするときや、相手から信頼を得たいときには、ノンバーバルコミュニケーションが重要です。
表情や声のトーン、身振り手振りなどを加えると、相手の理解促進につながり、誠実さや丁寧さも伝わりやすくなるでしょう。服装・視線・姿勢・距離感などによる影響も小さくありません。
相手に考えや熱意が伝わりにくい、相手の反応が薄いと感じている方は、ノンバーバルコミュニケーションを意識してみましょう。
また、職場でのコミュニケーションについては下記の記事でも紹介しています。