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休職とは
「休職」とは、さまざま事情で就労が困難な社員を、一時的に休ませる制度です。利用すれば会社との雇用関係を維持したまま、一定期間仕事を休むことができるため、社員にとっては非常に助かる制度だといえるでしょう。
休職制度は、法律で会社側に義務付けられている制度ではありません。社員が仕事を長期間休んでしまうと労働力が減り、生産性が低下するリスクがあるため、あえて休職制度を導入しないという会社もあるでしょう。
ですが、社員の健康を守ることは、会社が果たすべき義務のひとつです。とくに近年は心の健康、すなわちメンタルヘルス不調から社員を守る必要性が重要視されており、社会的責任を考慮して、休職制度を設ける企業が増えています。
休職前に行っておくべき準備
社員が休職する前に行っておくべき、会社の対応を紹介していきます。
休職制度は法律に義務付けられた制度ではないため、会社が独自に運用方法を定めても問題ありません。社員のメンタル不調には早期に対応する必要があるため、日頃から会社が行うべき次の2つのポイントを理解して、準備をしておくことをおすすめします。
休職が必要かどうか判断する
会社は、社員が仕事を休む必要があるかどうかを、常に判断する必要があります。当然ながら、職場や仕事が原因でメンタル不調になった社員を、会社側から一方的に解雇することはできません。
安全配慮義務の観点からも、休職の判断は会社にとっての義務です。社員の普段の様子や勤務状況、休暇申請の様子などを確認して、仕事を休ませるべきかを判断しましょう。上司が面談を行うのも効果的です。
定期的なストレスチェックも実施しましょう。厚生労働省による、「職業性ストレス簡易調査票」を活用してください。職場環境や、直近一ヶ月の心理状況についてなどの質問事項がまとめてあり、社員が抱えるストレスの状態を把握するのに役立ちます。
ストレスチェックを行ったら、会社が調査結果を適切に管理する必要があります。調査結果には社員の個人情報やプライバシーに関する情報が多く含まれているため、休職の判断のために社内で共有する場合にも、必要最小限の範囲にとどめましょう。
また、会社として、メンタル不調になった社員が傷病手当金を受給できるかどうかの判断もする必要があります。
休職する社員との間で取り決めをしておくべきこと
社員が休職する前に、会社が休職期間内の関する取り決めをしておくことが大切です。取り決めをしておくことで社員は安心し、仕事を休んで回復に集中できるでしょう。
まず、休職中の社員と会社との連絡方法を決めてください。メンタルヘルス不調で休職すると、孤独感や将来に対する不安を抱えてしまう人が多いため、相談体制を整えておくことをおすすめします。
また経済的な不安を減らすために、休職中の給与の取り扱いも決めておきましょう。利用できる公的サービスなどについても、会社側から説明できれば丁寧です。
あらかじめ休職制度のルールや復職支援について説明し、社員の理解を得ておくことも重要です。復職までの手続きについても説明して、不安の軽減に努めましょう。
休職中の注意点
社員がメンタルヘルス不調で休職している際に、企業が行うべき対応を紹介していきます。
休職はあくまでも一時的な措置です。将来的に職場に復帰することを見据えて、社員が安心して会社に戻れる配慮をしてください。
定期的に連絡を取る
会社は、休職中の社員と定期的に連絡を取りあう必要があります。休職期間内でも、社員の健康状態や回復状況を把握しておくのは、雇用する会社の義務と考えてください。
休職前の取り決めに従って、休職中の社員から定期的な報告を求めましょう。連絡を取り合うことで、社員が休職中に抱えている孤独感や疎外感を会社が把握しやすくなり、早期に対処するのに役立ちます。
休職中の各種手続きを円滑に行うためには、最低でも1ヵ月に1度、可能であれば月に2回程度は連絡を取り合うことが無難です。回復状況の確認にあわせて、無理のない範囲で復帰の意思の確認もしてください。
休職中に自宅外いる様子が確認された場合には
休職中の社員が自宅外にいる様子が確認された場合には、会社として適切に対処する必要があります。
とはいえ、休職中だからといって、会社が社員の外出を制限することはできません。生活圏内なら、通院や買い物などで外出するのは当然です。
メンタルヘルスの不調では、外出もリハビリの一部としても認められるのが一般的です。実家に帰省することは、ゆっくりと心身の疲れを癒すためにも役立つでしょう。
ただし、観光目的の長期旅行や海外旅行などは考えものです。休職中の社員が、心身ともに健康でないとできない活動をしている場合は、会社として事情を聞きましょう。
また休職中の社員のSNS発信は、控えるよう指導してください。ほかの社員がSNSを見たときにネガティブ感情をもち、職場復帰したときの環境が悪くなるリスクがあるため、事前に社員に注意しておきましょう。
復職時にはどのような対応が必要か
最後に、メンタルヘルス不調の社員が休職から復職する際の対処法を紹介していきます。
メンタル不調は、繰り返す傾向があります。苦労して復職しても、すぐに体調を崩してしまうのでは本末転倒なので、会社としてしっかり対処してください。
復職できるかどうかの判断
休職中の社員から復職の希望があった場合は、本人と主治医だけでなく、上司や人事担当者、産業医の意見も聞きながら判断することが大切です。会社として、社員が職場で仕事ができるまで回復しているかを、充分に確認してください。
メンタルヘルス不調の場合は、調子が良い日と悪い日で波があることが多いです。波の揺れ幅がなく、安定していることが復職の条件だと考えましょう。
心身の不調が回復しても、本調子ですぐに働き出せるわけではありません。とくに原因が職場にある場合は、以前と同じ状態で働くとさまざまな支障がでるため、本人の希望も聞きながら、短時間勤務や部署変更をすることを検討してください。
再発防止の対策
復職後のメンタル不調を防ぐためにも、再発防止対策が必要です。復職後は定期的な面談やストレスチェックを行うことで、再発の早期把握に務めましょう。
東京・ビジネス・ラボラトリーのストレスチェックを活用すれば、休職後の社員のケアは万全です。プロによる相談窓口や心理学を用いた丁寧な個別カウンセリングは、復職後の不調の再発を防ぐのに効果的です。
企業向けの研修やセミナーなどを開催しているのも、東京・ビジネス・ラボラトリーの魅力でしょう。心のケアから社員の復職支援だけでなく、コミュニケーションスキルや教育スキル、組織力の向上など、幅広いニーズにあわせた企業サポートが実現します。
東京・ビジネス・ラボラトリーは、企業のメンタルヘルス対策のノウハウの蓄積にも貢献します。社員のメンタルヘルス対策や休職からの復職支援に悩んだら、ぜひお気軽に東京・ビジネス・ラボラトリーにご相談ください。
まとめ
メンタルヘルス不調は、個人の責任ではありません。会社には社員の心身の健康を守る義務があるため、日頃から的確に状況を把握し、休職制度を活用しながら早期回復を促しましょう。
社員のメンタルヘルス対策には、ストレスチェックが効果的です。東京・ビジネス・ラボラトリーの便利なサービスも活用して、社員のケアを心がけてください。