目次
タスク管理ができない部下にみられる3つの特徴
タスク管理ができない部下にみられる共通の特徴として次の3つがあげられます。
・タスクを期限内に達成するための段取りができていない
・タスクごとの優先順位が付けられない
・タスクのスケジュールを把握していない
部下がタスク管理できない原因を把握するためにも、ここでは特徴ごとの詳しい内容をみていきましょう。
1.タスクを期限内に達成するための段取りができていない
タスクを期限内に達成するための段取りができない原因として多いのが、目先のタスクに気を取られてしまうことです。タスクの達成には、さまざまな観点から物事を考える必要があります。
しかし、タスク管理できない部下はタスク達成に必要な業務を因数分解できず、目先のタスクばかりに気を取られてその場しのぎ的な対処をしがちです。これでは適切な段取りが行えないため、効率が悪くなります。
2.タスクごとの優先順位が付けられない
タスクごとの優先順位が付けられないのも、タスク管理ができない部下にみられる特徴のひとつです。部下が優先順位をつけられないため、先に上司が優先業務に気づき部下に伝えることになり、結果的に部下は上司に言われたことしかやらなくなってしまいます。
優先順位が付けられないと重要度の高いタスクを後回しにしたり、緊急度の低いタスクを率先して進めたりすることになり、チーム全体の進捗効率も下がってしまうでしょう。
3.タスクのスケジュールを把握していない
タスクのスケジュールを把握できていないと、タスクにどれだけの時間をかけるべきか、見積もることができません。タスクの内容や納期を把握していないことが主な原因です。
また、仕事の質にこだわるあまり、ひとつの業務に時間をかけすぎてしまっているケースもあります。このような状態が続くと想定どおりにタスクが進まず、納期に間に合わないおそれがあります。
適切なタスク管理の実現に必要なことは7つ
適切なタスク管理の実現に必要なこととして、次の7つがあげられます。
・目標を明確にする
・タスクの棚卸を行う
・タスクの優先順位を決める
・進捗状況を可視化する
・余裕を持ったスケジュールにする
・進捗や状況に合わせて柔軟に対応する
・質にこだわり過ぎない
部下のタスク管理についてフォローしたり、指導したりするためにも、各ポイントの内容を把握しておきましょう。
1.目標を明確にする
適切にタスクを管理するには、目標を明確にすることが重要です。目標が定まるとゴールとそこに至るまでのプロセスをイメージしやすくなるためです。今何をすべきかがわかるので、タスクの進捗状況の把握も容易になります。
また、そのタスクが与えられている理由や目的、具体的な期限なども明確にしておくと、部下のモチベーションが上がりやすくなります。
ただし、いきなり高い目標を掲げられるとゴールが遠すぎてイメージが湧きにくくなり、失敗する可能性が高まるため注意が必要です。まずは年単位、月単位など達成可能な小さな目標から始めましょう。
2.タスクの棚卸を行う
タスク管理できない方は、自分のやるべきことを整理できていないケースが多いです。そのため、まずはタスクの棚卸を行いましょう。
タスクの棚卸を行うことで、自分のやるべき業務を洗い出せます。業務の洗い出しは、業務完了までにかかる時間の算出に役立ちます。
3.タスクの優先順位を決める
タスクを棚卸して、やるべきことの整理と各業務にかかる時間を把握したら、取り掛かるべきタスクを明確化します。業務完了までにかかる時間やレベル、納期などを考慮しながら、タスクの優先順位を決めていきましょう。
優先順位を決めておけば、重要度の高いものや納品日が早いものから適切に処理できるようになるため、タスク漏れや納期の遅延を防げます。
4.進捗状況を可視化する
誰がどのタスクに対応していて、どこまで進んでいるのか、進捗状況を可視化することも重要です。上司だけでなく、常にチーム全体で進捗状況を把握できるようにしておきましょう。
チェックする方の数が多いほど対応の遅れやトラブルを早期発見しやすくなるため、取り返しがつかないことになる前に対策できます。
進捗確認をエクセルで管理している企業もありますが、タスク管理のための表を作成する手間がかかります。プロジェクトの計画変更にも柔軟に対応しづらいため、タスク管理ツールを利用するのがおすすめです。
5.余裕を持ったスケジュールにする
納品日当日にタスクが完成するように設定した場合、「納期までに仕事が間に合えば良い」といった状態になりがちです。これでは、業務の遅延やイレギュラーが発生したときに対応できず、最悪の場合は納期遅延になりかねません。
業務の遅延やイレギュラーに対応しやすくするためにも、納期直前に業務を行わないように癖づけることで、余裕を持ったスケジュールでタスクをこなせます。
また、実現性があるスケジュールかどうかも確認しましょう。余裕のあるスケジュールを組んだつもりが、実は部下のキャパシティを超えていたら途中で対応しきれなくなるおそれがあります。
部下の能力や今抱えている業務などを考慮した上で、無理のないスケジュールを組むことが大切です。さらに上司側から部下に声をかけ、負担がかかり過ぎていないかを確認し、部下自身の力でタスクを達成できる環境を整えましょう。
6.進捗や状況に合わせて柔軟に対応する
部下の能力を考慮してタスクを割り振っても、イレギュラーな仕事が舞い込んだり想定よりも部下の能力が低かったりして思うように進まない場合があります。
このようなときは「1度任せたんだから」と頑なにならず、進捗や周囲の状況に合わせて柔軟に対応しましょう。
例えば新人のAさんとBさんに同じようなタスクを割り振ったところ、Bさんのほうが圧倒的に処理スピードが速かったとします。
このような場合はAさんとBさんに同じタスクを振り続けるのではなく、AさんのタスクをBさんに任せ、Aさんにはもう少し簡単なタスクを任せたほうがスムーズに進むでしょう。常に全体の進捗と状況を把握し、そのときどきで対応を変えることが大切です。
7.質にこだわりすぎない
完璧な仕事を求めてしまうがあまりに仕事の進捗が遅れてしまい、締め切りに追われたり、結果として質が低下したりすることがあります。
適切なタスク管理を実現するには、完璧主義にならないようにすることが大切です。
ある程度の質を維持しつつも、納期内でタスクを完遂させることを優先させましょう。そうすることで、質が一定ながらも多くの業務をこなせるため、現場では重宝されやすいです。
タスク管理ができない部下とのコミュニケーションのコツ
タスク管理ができない部下を指導するときの主なポイントは次の3つです。
・密接にコミュニケーションをとる
・気軽に話しやすい環境や雰囲気をつくる
・こまめな進捗確認をこころがける
自身でタスクを管理でき、自走できる部下を育てるためにも、ここでは指導時のポイントについて詳しくみていきましょう。
密接にコミュニケーションをとる
部下との密接なコミュニケーションは、指導の効果に大きな影響を与えます。部下が自身のタスクを管理できない原因が、普段からのコミュニケーション不足であることも少なくありません。もし、上司と部下の間で相談しにくい関係性となっている場合は、上司にも問題があります。
そのため、日頃から部下とコミュニケーションをとり、なんでも話せる関係性を構築しておく必要があります。また、良好な関係を構築することはタスクの相談だけでなく、仕事へのモチベーションやストレス、悩みなども聞けるようになり、組織全体にも良い効果をもたらすでしょう。
気軽に話しやすい環境や雰囲気をつくる
定期的にミーティングや1on1を実施するのも良いですが、部下の性格によっては緊張して話せなくなる場合があります。また、ミーティングや1on1が行われる日まで悩みやトラブルの報告を待たれると、問題への対応が遅れるおそれもあります。
もしものときはすぐに相談してもらえるように、普段から上司に気軽に話しかけやすい環境や雰囲気をつくっておきましょう。質問したり進捗を報告したりするハードルを下げるために、チャットツールを導入するのもおすすめです。
こまめな進捗確認を心がける
上司は部下が抱えるタスクについて、こまめな進捗確認を心がけましょう。「週に1度は1on1のミーティングを実施する」や「ツールを活用してタスクの進捗度を見える化する」といった方法で定期的に確認し、遅れが生じていればスケジュールを見直します。
早めにスケジュールを立て直すことができれば、大幅にスケジュールが遅れる前に軌道修正が可能です。また、部下にはスケジュールが遅れた原因が何かを考えてもらい、気づかせることも指導の一環として必要です。
ただし、あまりにも細かすぎるマイクロマネジメントは、部下のやる気を削ぐ危険もあるため注意しましょう。
全体を管理している上司からみると、このままでは上手くいかない、遅れが出そうだとわかることもあるかもしれません。しかし、毎回上司が先回りして失敗しないように手伝っていては、部下が成長する機会を潰してしまいます。
部下が、自分で考え試行錯誤するのを辞めてしまったり、いつでも上司の指示を待つようになったりして、かえってタスクに遅れが生じるおそれもあります。
部下が困っているときにアドバイスするのは良いですが、積極的に介入して部下の自主性や自発性が養われるのを邪魔しないようにしましょう。
まとめ
組織内にタスク管理が行えないメンバーがいるとプロジェクト全体の進捗に影響するおそれがあります。適切なタスク管理を実現するには「タスクの棚卸を行う」「タスクの優先順を決める」「余裕を持ったスケジュールにすること」などを意識しなければなりません。
また、部下がタスク管理を行えるようになるには、指導する側の上司も密接にコミュニケーションをとったり、こまめな進捗確認をこころがけたりといった点に注力する必要があります。
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