組織開発とは
まずは、組織開発の意味について詳しく解説します。
組織開発の概要
組織開発とは、人との関係性の変化、相互作用を促し、組織そのものをより良い方向へと変化させる手法です。
組織開発は1950年代にアメリカで生まれ、ヨーロッパを中心に発展しました。今では、日本の多くの企業で取り入れられています。
課題解決、生産性向上を図り、社会の変化に対応していくためには組織開発が必要です。
組織開発と人材開発との違い
組織開発と人材開発を混同している方も多いですが、違いがあります。
人材開発では対象を従業員などの「人」に置いており、特定の個人が対象です。対して、組織開発は、人そのものではなく、人と人によって生まれる関係性や相互作用を対象にしています。
組織開発と人材開発は対象が違うため、アプローチも違います。どちらが自社に必要なのかを検討しましょう。
人材育成の手法については、「【人材育成のポイント】代表的な4つの方法を紹介」で詳しく解説しています。
組織開発の流れとポイントを6ステップで解説
組織開発を成功させるために知っておくべき、正しい流れとポイントを紹介します。
ステップ①:組織としての目標・目的を明確にする
まずは、組織として達成したい目標や目的を明確にしましょう。組織開発はより良い組織を構築するための手法なので、組織としての目標、目的を決めるのが重要です。
目標、目的を決める際は、なるべく具体的にするのがポイントです。数字を入れたり具体的なアクションを考えたりします。
ステップ②:現状を把握する
目標、目的が明確にできたら、現状把握に取り組みましょう。目標と現状のギャップを知ると、これから取るべき行動が分かります。
経営陣から見た現状と、現場から見た現状は違います。そのため、従業員への聞き取りやアンケートなどで、根拠のある情報を集めるのがポイントです。
ステップ③:課題を設定する
現状把握ができたら、課題を設定しましょう。ヒアリングやサーベイなどから得た複数の原因をベースに、課題の仮説を設定します。
課題を設定する際は、複数の従業員や部署を巻き込むケースも多いです。そのため、早めに役員などの裁量権をもつ人へ、合意を得ておきましょう。
ステップ④:アクションプランを検討する
課題が設定できたら、具体的なアクションプランを検討しましょう。課題を解決できて、組織全体で実践できるプランが望ましいです。
アクションプランを実践する上では、想定外の事態が発生するおそれや、全社に一気に展開した場合の影響の大きさなどを考慮する必要があります。
そのため、まずは少人数を選抜し、試験的なアプローチから始めるのがおすすめです。
ステップ⑤:効果検証・フィードバックする
アクションプランを実際に実行したら、効果検証をし、フィードバックしましょう。成功した理由に加え、うまくいかなかった理由も振り返ります。
検証は早めに実施し、より適切にアプローチの方法を見直すのがポイントです。
ステップ⑥:組織全体に施策を展開する
スモールスタートで実施した施策で期待した効果が得られれば、次は組織全体に展開していきましょう。
施策を全体に展開した後も、継続的に効果検証を行うのがポイントです。施策にさらに改善を加え、組織としての目標達成を目指します。
組織開発の具体的な5つの手法
組織開発には、いくつか具体的な手法があります。自社に適切な方法はどれなのか、確認しながら見ていきましょう。
手法①:コーチング
コーチングは、近年注目されている手法のひとつです。「本人の中に課題解決策がある」という視点から、答えを与えるのではなく、あくまでも気付きを与えます。
そのため、自分で課題や解決策を考えてもらいます。無意識で意識改革を行う手法です。
手法②:フューチャーサーチ
フューチャーサーチは、組織の解決すべきテーマについて、グループ間で話し合ったり全体で議論したりする手法です。
参加するのは従業員のほか、顧客、取引業者、地元の人なども対象のため、多角的な視点が得られます。
手法③:AI(アプリシエイティブ・インクワイアリー)
AIは組織の課題よりも可能性やなりたい姿に目を向け、現状を肯定的に受け入れつつ、みんなで未来の目標に対するアクションプランを描く手法です。
個々の想いや考えが共有されるため、新たな視点から組織開発につなげられます。
手法④:ワールドカフェ
ワールドカフェは、カフェのようなリラックスした空間で気軽に話すミーティング手法です。会議室とは違い、本音が出やすくなります。
相手の意見を聞きやすく、また自分の意見を伝えやすいミーティングです。上下関係を取っ払って話したい場合には、試してみましょう。
手法⑤:OKR
OKRは「Objectives and Key Results」を略しており、目標管理方法のひとつとして利用されている手法です。
企業の目標を各部署やチーム、個人の目標へ落とし込み、意識を統一します。GoogleやMetaなどの大企業も導入しており、すべての社員が同じ目標に向かって業務に取り組めることがメリットです。
組織開発の事例6選
実際に組織開発をしている企業の例を知ると、自社に活かせる取り組みが見つかるかもしれません。具体的な事例を見ていきましょう。
事例①:Yahoo! JAPAN
Yahoo! JAPANは2012年から本格的に組織開発を始め、「1on1ミーティング」や「コーチング研修」などさまざまな方法を実施しました。
この取り組みにより、現場で問題が解決するようになり、部下から上司に対してフィードバックする文化も根付きました。
Yahoo! JAPANの問題であった非効率的な体質が改善され、自走できる企業になった良い例です。
事例②:株式会社メルカリ
株式会社メルカリは、「All for One(全ては成功のために)」の実現のため、OKRを導入しました。
個人やチームを成長させる仕組みとして導入されると、個人はチームのために、チームは個人のために動くようになり、業務効率が大幅に改善されました。
OKRは同社のカルチャーにもマッチして、定着しているようです。
事例③:味の素グループ
味の素グループは独自の取り組みとして、ASV(Ajinomoto Group Shared Value)を行い、組織開発を実現しました。
ASVは「創業以来一貫した、事業を通じて社会価値と経済価値を共創する取り組み」です。これまで以上のスピードで社会的価値、経済的価値を生み出すために導入されました。
この取り組みにより、グループとしての一体感の強化と、個々の多様性の尊重を同時に築き上げることに成功しました。
事例④:株式会社ニトリホールディングス
株式会社ニトリホールディングスは、個人と組織の成長をつなげる施策を行っています。
具体的には、エンプロイジャーニー調査やeラーニングの結果分析などを使い、個人の興味やビジョンを把握しているのが特徴です。
調査結果をもとに配置転換なども行っており、組織全体での成長につなげています。
事例⑤:株式会社ボールド
IT系企業の株式会社ボールドは、オンライン学習サービスを活用した組織開発を行っています。
社員が派遣先の会社に常駐しており、なかなか集まる機会がありませんでした。そこでオンライン学習を開始したところ、結果が出始めます。
ひとつの場所に集まらなくても個人のスキルアップができたため、オンライン学習は株式会社ボールドにとって最適の組織開発でした。
事例⑥:Goodpatch(グッドパッチ)
Goodpatchは企業の成長に伴う従業員の大幅増加をきっかけに、育成指針の統一や人材との価値共有が上手くいかなくなったことを受けて、組織開発を行いました。
ナレッジシェアリング(ビジネスで必要な知識や技術を全体で共有すること)の強化に着手し、組織の協力関係の構築を図ります。
その結果、さまざまな部署でエンゲージメントスコア(偏差値)の上昇が見られるようになりました。適切な組織開発を行った良い例です。
組織開発をするならTBLの企業研修が最適
組織開発をするなら、外部の企業研修導入もひとつの手です。外部の企業研修を導入すると、客観的な視点から組織開発ができます。
外部の企業研修なら東京・ビジネス・ラボラトリー(TBL)がおすすめです。TBLでは心理学のメソッドで組織開発を行い、部下の指導、育成などをサポートします。
新たな視点や最新のノウハウを得られるため、組織開発で悩んでいる企業様にはおすすめです。興味がある企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
組織開発は組織にとって、重要なポイントです。会社が大きくなってもまとまっていくために、組織開発は行っておきましょう。
組織開発には、適切な流れや手法があります。本記事で紹介した方法を参考に、適切な組織開発を行いましょう。
ただ、組織開発を行うにはコツが必要なため、外部の企業研修導入をおすすめします。TBLでは心理学のメソッドで組織開発をお手伝いしますので、お気軽にご相談ください。