組織戦略とは何?成功する立て方と見直しポイント、実例まで解説

人材育成や経営課題を解決する方法のひとつとして、「組織戦略」が挙げられます。組織としての方向性を決められると社員一人ひとりの意識もそろってくるため、組織戦略は重要なポイントです。 本記事では、組織戦略とは何か、成功する組織戦略の立て方、実際に成功した組織戦略の成功事例を解説します。


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組織戦略とは

組織戦略とは、理想の組織を実現するための戦略を指します。企業によって組織戦略の位置づけはさまざまですが、個人の能力だけでなく、組織全体の底上げのためには組織戦略が必要です。

組織戦略には代表的な考え方とアプローチがあります。組織戦略を考えるうえでの基本になるため、必ず知っておきましょう。

組織戦略における代表的なふたつの考え方

組織戦略には、下記ふたつの代表的な考え方があります。

組織は戦略に従う

これは戦略を達成するために組織が存在するという考え方です。経営学者のアルフレッド・チャンドラーによる考え方で、1962年に提唱されました。

組織を取り巻く環境は常に変化し続けます。変化に対応していくための戦略を作り、その戦略を実現できる最適な組織を編成します。

戦略は組織に従う

一方で、こちらは組織ありきで戦略を立てていくという考え方です。経営学者のイゴール・アンゾフによる考え方で、1979年に提唱されました。

大企業はともかく、中小企業は戦略を達成するための組織力がない場合があります。力量以上の戦略を立て、戦略に組織を合わせようとしても失敗する可能性が高いです。まずは組織の力を正しく把握し、力量に合わせた戦略を立てる方が良い場合もあります。

組織戦略におけるふたつのアプローチ

組織戦略には、下記ふたつの代表的なアプローチがあります。

トップダウン・アプローチ

トップダウン・アプローチは、社長やCEOなどの経営のトップが戦略を策定し、部下に実行させるやり方を指します。欧米企業が多く取り入れているやり方で、実行までのスピードが早いのが特徴です。

ただ上司が部下に命令するやり方ではありません。部下が戦略を理解していないとトップダウン・アプローチは成功しないため、経営陣は分かりやすい戦略を意識し、部下に対し十分な説明をする必要があります。

ボトムアップ・アプローチ

ボトムアップ・アプローチは現場の社員から意見を吸い上げ、上司が内容を吟味しながら意思決定していくやり方を指します。国内企業が多く取り入れているやり方で、現場の変化に対応しやすい点が特徴です。

ただ、ボトムアップ・アプローチでは責任は誰にあるかが曖昧になりがちです。責任者を明確にすると、部下も安心して意見を上げられ、ボトムアップ・アプローチの成功につながります。

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成功する組織戦略の立て方を5ステップで解説

やみくもに組織戦略を立てても、成果は上げられません。成功する組織戦略を立てるには、正しい手順を踏む必要があります。

組織戦略を立てる前に必ず知っておきましょう。

ステップ①:理想的な組織像を考える

理想的な組織像へ向かって組織戦略を立てるため、まずは組織の理想の姿を考えましょう。

理想像が固まっていれば、組織戦略立案の際に、戦略がずれてしまうケースがなくなります。

ステップ②:人事課題を把握する

解決したい人事課題を把握し、明確にしておきましょう。組織戦略は多くの場合、人事問題を解決するために立てられます。人事課題を把握できていないと、適切な組織戦略を立てられません。

注意点として、人事課題は人づてではなく、現場で情報を仕入れましょう。現場に行かなければ見えない課題も多いため、経営陣自ら部下に聞く姿勢が大事です。

ステップ③:課題に優先順位をつける

課題を把握できたら優先順位を付けます。出てきた課題はすべて解決できれば良いのですが、時間や人材が限られている中で、すべてを重要課題として解決していくのは現実的ではありません。優先順位を付けることで、真っ先に集中すべき課題は何かがはっきりしていき、問題解決に動きやすくなります。

優先順位をつけていく過程で、経営戦略とのつながりが弱かったり組織方針から外れていたりする課題は、思い切って切り捨てることでより練られた戦略になります。

ステップ④:課題を解決できる組織戦略を検討する

洗い出した課題を解決できるような組織戦略を検討しましょう。特にトップダウン・アプローチの場合は、部下に対して十分な説明ができるまで戦略を練る必要があります。

戦略を考えている過程で、目的からどんどんずれていってしまうケースも珍しくありません。定期的に課題を振り返りながら、戦略を立てていきましょう。

ステップ⑤:組織戦略の方向性がぶれていないか確認する

戦略が決まったら、最後にもう一度方向性がぶれていないか確認します。ここで方向性がずれているとなれば、再検討の必要があります。

最後の確認と思い、徹底的に検討してみると良いでしょう。

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組織戦略の見直しポイント5選

組織戦略はただ立てるだけではうまくいかず、一度立てても定期的に振り返る必要があります。組織戦略を見直すときのポイントは5つあります。

ポイント①:管理体制は整っているか

組織戦略を管理する体制が整っているかを確認しましょう。組織として生産性を高めるためには、社員を適切に管理できる体制が必要です。組織戦略や、企業の方針・理念を社員全員に浸透させ、実現させます。

管理体制が整っていなければ離職率にも影響します。全員同じ対応では対処できないため、一人ひとりに合った対応が必要です。

また、組織戦略を作成し、実行していく上で、中間管理職はとても重要なポジションといえます。中間管理職次第で、組織戦略の質や、実行までの迅速さなど、大きく変わってきます。

中間管理職の立ち回りを見直すことも、より効果的に組織戦略を実施していくには大事になります。

ポイント②:現場社員の不満はないか

現場社員に不満があると、組織戦略を策定するのが難しくなり、実際に組織戦略に取り組む段階になっても、まとまりがなく十分に効果が見込めない可能性があります。

そうならないためにも、社員の不平不満を解消し、かつこれからため込まないで済む環境づくりも大事になります。

対応策としては、人事評価制度を明確にしたり相談窓口を設けたりするなどがあります。平等性や公平性などを大事にし、ひいきなく全員が正しく評価される環境を作るなど、現場社員の声に耳を傾け、各社員に合わせた対応を行いましょう。

ポイント③:組織の目標を全員が理解しているか

組織の目標を社員全員が理解しているかは、重要な見直しポイントです。一人でも目標を理解していないと、組織として目標に進めません。

しかし、組織の目標はなかなか現場には伝わりづらい面もあります。定期的に、社員へ組織の目標や組織戦略を伝える機会を設けると良いでしょう。

ポイント④:組織戦略に合った人材を採用しているか

人材も組織戦略には欠かせない重要な要素です。組織全体で進めていくからこそ組織の戦略や企業方針などの浸透が必要になります。ただ、スキルや経験で採用を行っていると、自社のカルチャーと合わず、ミスマッチを起こすことがあります。

結果、戦略を実現するための組織として機能できないことも考えられます。
組織戦略がなかなかうまく進まないときは、組織戦略に合った人材を採用しているかを振り返ってみましょう。

個人の能力が高くても、組織に適合した人材でなければ、組織戦略では力を発揮できません。人材採用に課題を感じた際は、戦略人事を導入してみるなど、ほかのアプローチを考えてみましょう。

ポイント⑤:むやみに戦略を変えていないか

組織戦略として一度打ち出したものを、何度も変更すると、社員が団結力をなくしてしまうおそれがあります。なるべく組織戦略は変えないようにし、戦略を変える場合は必要性をしっかり社員に伝えるようにしましょう。説得力のある理由があれば、受け入れてもらえる可能性も十分に考えられます。

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組織戦略の実例4選

実際にあった組織戦略を知り、自社の組織戦略に活かしましょう。今回は下記4社の組織戦略を紹介します。

●サントリービール
●日産自動車
●楽天株式会社
●カヤック

お手本になる戦略ばかりのため、自社の組織戦略を立てる際の参考にしましょう。

実例①:サントリービール

サントリービールの組織戦略は『失敗を恐れず新しいことにチャレンジしていく』戦略で、『やってみなはれ精神』と呼ばれています。

失敗をおそれていては新たなアイデアが生まれないため、「失敗してもいいからチャレンジしていこう」という社長の想いが込められている戦略です。この組織戦略により、サントリーは日本の飲料業界を走り続けています。

実例②:日産自動車

日産自動車は『タレントマネジメント』という組織戦略を立てました。これはそれぞれがもつ才能を発揮できるよう、適材適所への配置や従業員の能力や資質を伸ばそうという戦略です。

日産自動車は『タレントマネジメント』により優秀な人材を育成し、人事組織戦略として成功を収めました。今でも自動車業界で活躍できている良い戦略です。

実例③:楽天株式会社

楽天株式会社は『Global Innovation Company』という、従業員が自発的に行動するような育成を進めていく戦略を立てました。

人事組織戦略において、経営戦略自体を明確にし、企業全体の目的を成し遂げるために必要な人材を鮮明にするのが大事です。

楽天株式会社は人事組織戦略を導入して大成功をおさめ、今では多数のジャンルで活躍しています。

実例④:カヤック

カヤックはゲームや広告、Webサービスなどさまざまなコンテンツを制作している会社で、『何をするかより誰とするか』を組織戦略として掲げています。

常に組織戦略ファーストで動いているため、同じ志を持った社員が集まってきます。在籍社員の9割がクリエイターという企業のため、魅力ある人材を集めることが事業の成功にもつながりました。

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まとめ

組織戦略は、人材育成や経営課題を解決する有効な手段のひとつです。正しい手順を踏んで組織戦略を立てれば、組織として一丸となって目標に進めます。実際に成功している企業の組織戦略を参考に、自社に合った組織戦略を考えていきましょう。

組織戦略をより効果的にするには、企業・外部研修の導入が有効です。TBLでは企業・外部研修を行っており、心理学のメソッドから組織の最適化をお手伝いします。さまざまな解決方法をご提案いたしますので、ぜひ一度ご相談ください。