コンピテンシー評価とは?メリットや導入の手順・注意点を解説!

近年、働き方改革の普及やデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進、あるいはタレントマネジメントシステムの活用などにより、従来型の人事評価制度に課題を抱える企業が増えています。 この記事では最近広まりつつある「コンピテンシー評価」のメリットとデメリット、導入する際の注意点を紹介します。


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コンピテンシー評価とは?なぜ重要なの?

コンピテンシー評価とは、高い業績を上げる社員の行動特性をロールモデルに行う人事評価制度のことです。

従来の職能資格制度(能力評価)といえば、社員の知識やスキルといった能力値において、抽象的な評価基準が設けられていました。

・責任感
・積極性
・協調性
・確動性

しかし、これでは評価者の主観によって大きく左右するおそれがあると同時に、年功序列や終身雇用などの長期雇用を前提とした等級制度に変わりありません。経験の浅い社員は評価されにくく、昇格、昇給がしにくいでしょう。

一方、コンピテンシー評価であれば、知識やスキルを使ってどのように生産性向上に努めたのか、成果だけではなく、そこにいたる業務プロセスも評価されるため、社員の能力や適性を多面的に評価することができます。

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コンピテンシー評価導入のメリットとデメリット

透明性の高い評価手法ともいわれるコンピテンシー評価の導入におけるメリットとデメリットについて見ていきましょう。

メリット

コンピテンシー評価の導入メリットとしては、主に以下の3つが挙げられます。

評価される社員の納得度が高い

コンピテンシー評価は、職務ごとに定義したコンピテンシーモデル(行動特性)をもとに評価項目に落とし込んでいきます。

明確な基準に基づき、業務プロセスも含めた評価を行うため、社員の貢献度が不透明な成果に対しても公平に評価を行うことが可能です。

人事評価の基準を明確化させて公平な評価を行うことは、社員の納得度を高めるだけでなく、若手の離職率を低下させることにもつながります。

また、評価される社員は「成果につながる行動を評価してもらえた」と感じることができるため、モチベーションアップが期待できます。

社員に対する評価がしやすくなる

評価基準が明確ということは、評価する上司や人事担当者にとっても評価がしやすいということです。

従来の職能資格制度の場合、上下関係や自身の出世、保身といった、評価者のそのときの立場や置かれた状況により評価が左右されやすい一面がありました。コンピテンシー評価であれば、評価者の主観が入り込む余地も少なく、より本質的な評価を行うことができます。

効率的な人材育成ができる

コンピテンシー評価は、現場に即したコンピテンシーモデルの設定からはじまります。

コンピテンシーモデルは、メンタル面、フィジカル面、スキル面、フォーカスなど社員にモデリングさせるため、専門的な知識やスキルをもった人材を育成しやすくなります。

評価基準が明確なため、求められる行動も理解しやすく、成果につながるスピードも速いでしょう。

ただし、なかにはその職務に向いていない人材が出てくる場合もあります。そのような場合でも、評価基準による配置を検討するなど、戦略的な人材マネジメントを展開しやすくなります。

デメリット

コンピテンシー評価の導入のデメリットは、主に以下のふたつです。

コンピテンシー評価導入までのハードルが高い

コンピテンシー評価を導入するためには、評価モデルとなる高い業績を上げる社員を選定したり、ヒアリングによって行動を分析したり、項目設定や特性の抽出といった多くの工数が必要です。

評価モデルとなる社員が存在しない場合には、企業が理想とする人物像に基づいて評価基準を設計していく必要がありますが、いずれの場合においても運用までに1年以上の時間がかかるとされています。

また、評価モデルへのヒアリングにおいては、どのような行動が成果に結びついているのか分からないことも多く、手間と時間がかかることを踏まえたうえでコンピテンシー評価の導入を検討しましょう。

経営状況などの環境変化に適応しにくい

コンピテンシー評価は、一つひとつの評価基準が明確に細分化されているからこそ最大限に効果を発揮します。

ただし、社会情勢や経営状況に変化が起こった場合、変更や修正といった柔軟な対応ができないかもしれません。

企業の課題が変化すれば、その都度社員に求める行動も変化します。導入後における評価基準の再定義、あるいはメンテナンスには膨大なコストがかかるでしょう。

また、社員によっては新たに設けられた評価基準に困惑してしまう場合もあります。

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コンピテンシー評価の導入手順

ここからはコンピテンシー評価を導入する際の具体的な方法を見ていきます。

成果の高い人材にヒアリングする

はじめに、高い業績を上げる社員を選定し、ヒアリングを行いましょう。ヒアリングのコツは「何をしたか」という結果を尋ねるのではなく、「なぜそのような行動を取ったのか」という思考パターンを引き出すことが重要になります。

そのほかにも以下のような問いかけが有効です。

・普段どんなことを意識しているのか?
・選択肢が複数あった場合に優先順位はどう決めるのか?
・その行動を起こしたときにどんな必要性を感じたか?

評価モデルとなる社員が存在しない場合には、会社が理想とする人物像を設計しましょう。そのほかに、実在する生産性の高い社員をベースに、企業の理想像で補完したハイブリッド型モデルを設計していきます。

コンピテンシーを検討する

ヒアリングから得られた情報をもとにコンピテンシーを洗い出し、評価項目として作成していきます。評価レベルを3~5段階設けながら、自社に合った評価項目に絞り込みましょう。

評価項目を作成する際には、6つのカテゴリーと約20項目から成り立っているコンピテンシー・ディクショナリーをモデルケースとして使用するのがおすすめです。

また、評価項目は職種や役職を勘案し、多岐にわたって作成していくため、手間と時間がかかります。それを一気に解決したい場合には、経験豊富なコンサルティング会社に設定を依頼するのも方法のひとつです。

テストをして調整を加える

コンピテンシー評価の項目ができたら、今度はその評価基準が適正かどうかのテストを行います。

企業の経営方針やビジョンと合致しているか、中程度の評価を受けている社員がハイパフォーマーの社員よりも高評価にならないかなどチェックが必要です。

複数人の評価を繰り返し行いながら調整を続けていくことで、高精度のコンピテンシー評価を策定することができます。

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コンピテンシー評価を導入する際の注意点!

コンピテンシー評価を導入する際には、以下の3つの点について注意する必要があります。

成果を上げることを目的にする

人材マネジメントの精度や効率アップのツールとして捉えられがちなコンピテンシー評価ですが、もともとは仕事ができる人の行動特性をベースとして考案された評価基準です。そのため、最終目的は「成果を上げること」だといえます。

せっかくコンピテンシー評価を導入しても、本来の目的がうやむやなままでは成果も限定的になってしまいます。

社員一人ひとりに対し、導入目的について丁寧な周知を図っていくことが業務向上のカギとなるでしょう。

コンピテンシーを完璧に達成できる人はいない

コンピテンシー評価を導入する前提として、すべてのコンピテンシー評価項目を高いレベルで達成できる人はいないということを理解しておく必要があります。

会社の理想を押し付け過ぎてしまうと、社員のモチベーションを下げることにもなりかねません。

人事担当者であれば、完璧に達成することを目指すのではなく、それぞれの社員の強みを伸ばしたり、弱みを把握して課題を解決したりするための目安として活用すると良いでしょう。

定期的に見直しをする

コンピテンシー評価を導入した場合、定期的に見直していく必要があります。なぜなら、ビジネスや環境の変化によって、会社の求める知識やスキルが変わっていくからです。

自社の得意とするビジネスモデルや、競合他社とのポジショニングに変化が生じた場合には、会社の掲げる経営目標などと擦り合わせを行い、策定したコンピテンシー評価とマッチしているかを都度見直すようにしましょう。

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まとめ

コンピテンシー評価は、従来の職能資格制度(能力評価)と比較して優れた人事評価制度ではあるものの、実際に導入するまでには多くの手間と時間がかかります。

東京・ビジネス・ラボラトリーでは、企業サポートとして企業研修、メンタル顧問、経営者サポート顧問を行っており、効果の高い人材育成にも力を入れています。

従来型の人事評価制度に課題を抱えているのであれば、ぜひ一度ご相談ください。