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職場のコミュニケーションの課題
職場のコミュニケーションが社員の働きやすさに直結するとはいえ、その課題は目に見えるものではありません。コミュニケーションの概念自体が抽象的で分かりにくいものであるため、課題の抽出には原因と結果を深く掘り下げる必要があります。
ここでは、職場のコミュニケーションがうまくいかない理由と、コミュニケーション不足から生じる問題点を解説します。
コミュニケーションがうまくいかない理由
職場でのコミュニケーションが活発に行われない理由は、社員全体の雰囲気にあります。日々の業務に追われ、いつも忙しそうにしている同僚や、気分のムラがあり、目も合わせてくれない上司ばかりでは、職場全体の雰囲気が悪いです。
なかには、業務自体が個人プレーで話をする機会がない企業もあるでしょう。そもそも建設的なコミュニケーションについて教育されたことがなく「積極的にコミュニケーションを図る目的」を理解していないことも考えられます。
また、コミュニケーションを行うための情報共有環境が整っていないこともあるでしょう。
顔を合わせないデスクの配置や、部署同士の連絡ツールがメールや電話のみの場合は、気軽に挨拶もできません。相手の人柄を知らない状態では、社内コミュニケーションが希薄になってしまいます。
コミュニケーションがうまくいかないときに起こること
職場で円滑なコミュニケーションが取れていない場合は、以下のように仕事や人間関係にさまざまな悪影響を及ぼします。
・うまく連携がとれず社員のストレスが増える
・孤独感を感じやすく社員のモチベーションが低下する
・ミスコミュニケーションによって仕事のクオリティーが低下する
・社内のギクシャクした人間関係により顧客へ迷惑をかける
・上司との有益な意見交換ができない
・企業全体の目的や現状が共有できない
以上のように、社内の人間関係がうまくいっていないことから、企業全体のイメージ低下や信頼損失につながる可能性があります。
コミュニケーション不足により、モチベーションが低下した社員が離職するケースもあります。いくら有能な社員を採用しても、その能力を活かせないのでは意味がありません。「職場の人間関係が良い」というメリットは、離職率を防ぐ立派な理由になります。
職場のコミュニケーションを活性化させる重要性
職場のコミュニケーションを円滑に行うことで、人間関係や業務に良い影響をもたらします。ここでは、職場のコミュニケーションが重要となる理由を解説します。
生産性が上がる
コミュニケーションが円滑になることで、チームの士気が高まり、業務効率化につながります。コミュニケーションが取れていれば、それぞれの特性を把握し、うまく仕事を分担できます。
チームのなかには、物静かだけど良いアイディアを思い浮かぶ社員もいるはずです。そのような社員が意見を出しやすい雰囲気を作れば、クリエイティブな発想が練り上げられるかもしれません。
また、意見を出しやすい雰囲気を作ることで、進捗状況の遅れも報告しやすくなります。もしもチーム内の作業に遅れが生じたとしても、上司はすぐに把握して対応することができるでしょう。
このように、人間関係を円滑にすることで生産性が向上するため、職場のコミュニケーションは大変重要であると考えられます。
離職率が下がる
コミュニケーションが不足している職場では「退職したい」と思ったときに、思いとどまるものがありません。人間関係を重視する人の場合、良好な人間関係が構築されていなければ、自分の居場所として愛着が湧かないこともあります。
円滑なコミュニケーションには、職場の離職率を低下させる効果があります。例えば、上司と良好な関係を築けている部下であれば、「もっとこの上司の役に立ちたい」と、高い意欲が生まれます。このように、仕事への満足度や愛着度が高まれば、離職率が下がるといえるでしょう。
離職率の低下は、企業のイメージアップにもつながります。人間関係が良好な職場であることは、最大のアピールポイントになり、さらに優秀な人材を確保できる可能性が広がります。
職場のコミュニケーションを改善する取り組み
「円滑なコミュニケーションを」と思っても、目に見えない課題を解決するのは安易なことではありません。ここでは、職場のコミュニケーションの課題を解決する3つの方法を紹介します。
コミュニケーションの問題点を探る
コミュニケーション不足を実感している場合は、まずどこのコミュニケーションに問題があるのか考えてみましょう。
風通しの悪い企業では、タテのコミュニケーションに問題があるかもしれません。会社全体や経営者の理不尽な方針、上司のワンマンな指示に対して、従業員が何も言えない環境の場合、健全なコミュニケーションは期待できないでしょう。
次に、業務自体に会話を必要とする機会が少ない場合は、同じ部署内や、同僚とのヨコのコミュニケーションが不足している可能性があります。ヨコのコミュニケーション不足を解消するには、業務に関係のない話をして個々の特性を把握する必要があります。
そして、社内全体の情報共有がうまくいかない場合は、ナナメのコミュニケーションに問題があるのかもしれません。こういったケースでは、定期的な席替えや、居心地の良いフリースペースを設けることで、チームや部署間に新たな交流が生まれることがあります。
コミュニケーションを活性化する機会をつくる
企業によってコミュニケーションの課題は異なります。コミュニケーションを活性化するためには、不足しているコミュニケーションに合わせ、意図的に機会を作る必要があるでしょう。
例えば、タテのコミュニケーション不足には、定期的な面談がおすすめです。部下の悩みや近況に耳を傾け、寄り添う姿勢をもちましょう。部下から斬新なアイディアが出てくるかもしれません。
全体的なコミュニケーションの促進を図るには、社内イベントや食事の機会を作るのがおすすめです。とくに、新人が入社したときは積極的にイベントを打ち立てて迎え入れましょう。
ここで注意すべきは「強制参加」にしないことです。コミュニケーション不足は企業全体の課題ではあるものの、休憩時間や休日に拘束することは逆効果になります。あくまで業務の一環として開催することで、業務外での会話が増え、日常のコミュニケーションも円滑になるのではないでしょうか。
コミュニケーションツールを取り入れる
目に見えないコミュニケーションだからこそ、可視化できるようにコミュニケーションツールを導入する方法もあります。
建設的なコミュニケーションには、一定のルールがあります。社内で、コミュニケーションのグランドルールを定着させることは、コミュニケーションにおけるさまざまな問題を解決します。専門家からのサポートを導入することは、スピーディーで適切な結果に繋がります。
職場のコミュニケーションがうまくいかず、生産性が下がっている企業には、東京・ビジネス・ラボラトリーの企業研修がおすすめです。このセミナーでは、ビジネスシーンでのメンタルサポートを行い、メンタル力やコミュニケーションスキルを高めることができます。
意図的にコミュニケーション能力を訓練することで、課題解決に導くことが可能です。
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職場でコミュニケーションを活性化させる具体的な手法
職場でコミュニケーションを活性化させることは、多くのメリットを生み出してくれます。しかし、実際にどんな方法を使えば、コミュニケーションは活性化するのでしょうか。
ここからは、職場でコミュニケーションを活性化させる5つの具体的な手法を紹介します。
1on1ミーティングを実施する
1on1ミーティングとは、上司と部下が1対1で行う、30分程の面談のことを指します。評価のための人事面談とは違い、部下に焦点を当て、部下に話してもらう機会を多くとるのがポイントです。そうすることで部下の成長や疑問解決を促せます。
1on1ミーティングを導入すると、上司と部下間の物理的なコミュニケーション量が増え、普段の会話もしやすくなるケースもあります。
社内イベントを企画する
社内イベントにより社員同士が交流できる場を設けると、職場に一体感が生まれやすくなり、モチベーションの向上にもつながります。
具体的な社内イベントとしては、ゲーム大会やお花見、BBQなどがあげられます。社員の趣味を聞いて、さまざまなジャンルの社内イベントを企画すると、さらにコミュニケーションの活性化に効果が期待できます。
メンター制度を導入する
メンター制度とは、年の近い先輩社員が若手社員をサポートする制度です。メンター制度を導入すると、疑問点や不安なことなどを気軽に相談しやすい環境が整えられます。上司に相談できないことも、年の近い先輩社員なら相談できるという方も多いです。
また、メンター制度は後輩から先輩へのコミュニケーション量を増やすきっかけにもなります。職場の上下関係がうまくいっていないと感じる場合は、メンター制度を導入するのがおすすめです。
シャッフル形式のランチをする
シャッフル形式のランチとは、職場内で普段は接点がない社員と一緒に食事をすることです。普段は話す機会がない社員と会話ができるため、職場の中でも新たな接点をもつことができます。
部署間でコミュニケーションが必要なときや、部署異動があったときの引継ぎもスムーズにできることがメリットです。
また、お酒が飲めない人でも参加しやすく、プライベートの時間を削る必要もないため取り入れやすい施策のひとつといえます。
フリーアドレス制度を導入する
フリーアドレス制度とは社員の座席を決めず、自由な席で仕事ができる制度です。座席が自由だと毎日違う人が隣に来るため、さまざまな社員とのコミュニケーションが促されます。
また、新鮮な気持ちで仕事に取り組めて、生産性が向上するメリットもあります。空いている席を有効活用できる面もあるため、社内の雰囲気を変えたい、コミュニケーションを活発にしたい場合にはおすすめの方法です。
職場のコミュニケーション改善の事例
実際に職場のコミュニケーションを改善した事例を紹介します。職場のコミュニケーションを改善するとどのようになるのか、イメージしながら見ていきましょう。
1o1ミーティング|Yahoo
検索エンジンでおなじみのYahooは、「部下の才能と情熱を解き放つ」というコンセプトのもと、1o1ミーティングを行っています。
部下と上司をはじめとした人間関係がさらに良好になり、職場のコミュニケーションが活性化されたそうです。今では社員7,000名のうち、約9割が隔週1回以上、約30分の1o1ミーティングを行っています。これは1o1ミーティングが社内に浸透し、各社員が重要性に気付いている証拠といえるでしょう。
THANKS GIFT|株式会社ジェイアイティ
株式会社ジェイアイティは携帯ショップ運営をしている会社で、「THANKS GIFT」という制度を導入しています。「THANKS GIFT」とは、お互いの感謝をサンクスカードなどの方法を取って送りあい、可視化する制度です。
「THANKS GIFT」によって得られた感謝はポイントとして残り、そのポイントを貯めると希望休を増やせるなどの特典があります。これにより、お互いを尊重して受け入れあう風習が確立されているのです。
まとめ
職場のコミュニケーション不足は、仕事にさまざまな影響を及ぼします。職場の雰囲気が悪くなると、生産性低下や離職率上昇などを招いてしまうことがあります。
コミュニケーションの機会は、管理職が積極的に作り上げる必要があります。とはいえ、企業の規模によっては、環境整備が難しい場合もあります。コミュニケーション不足を解消する環境作りに悩んでいる人は、東京・ビジネス・ラボラトリーの企業研修を受けてみてください。
コミュニケーションスキルを上げて、職場の環境を改善することができます。