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職場のチームワークとは
職場におけるチームワークとは、同じプロジェクトや業務をしている社員同士が、同じ目的や目標に向かって取り組むことを指します。
同じひとつの仕事に取り組んでいても、個々で得意・不得意は違います。チーム内でお互いの弱点を補い、働くことがチームワークの良いチームとなるわけです。
職場では、あらかじめ社員の能力や適性を見ながら仕事を割り振られますが、それぞれが独立して成り立つことは、ほぼありません。
複数人でチームを組み行動したほうが、業務がスムーズに進行しやすくなるほか、個々の強みを発揮できる可能性が高いのです。そのため、職場では積極的にチーム制を採用しています。
チームと同じような意味をもつ言葉に「グループ」がありますが、組織行動学的には特徴が違うとされています。
グループもチームと同様に複数人が集まって取り組みますが、個々のもつ能力を最大限に発揮することが目的です。そのため、個々の能力以上の成果は出せません。
一方、チームの場合では、全員がひとつの目標に向かって弱点を補いながら協力するので、個人がもつ能力以上の成果を出せるといわれているのです。
職場のチームワークが求められる3つの背景
職場のチームワークの必要性は、時代の変化によってますます高まっています。なぜチームワークが重要視されるのか、その背景をしっかり理解しておきましょう。
業務内容の高度化
チームワークの必要性が向上している理由のひとつに、時代の変化で業務内容が高度化していることがあげられます。
ITをはじめとするさまざまな技術の進化により、ビジネス環境は複雑化しています。生産性を維持するためにはスピーディーで正確な判断が求められるシーンが多く、個人の能力だけではなかなか対応できないのが実情です。
ですが、互いの感性や専門性をもち寄れば、困難を乗り越えることが可能です。スムーズな問題解決のためにも、チームワークが重要でしょう。
新しいアイデアが必要
チームワークは、新しい商品やサービスを生み出すのに欠かせません。現代ではビジネスサイクルが早くなっていて、仕事をする上で常に新しいアイデアが必要とされています。
個々で仕事をしていると既存の概念から抜け出せず、斬新なアイデアは生まれにくい傾向があります。その点、何人かが集まると、コミュニケーションを通してアイデアが生まれやすいため、これからのビジネスにチームワークは重要といえるのです。
ビジネスのグローバル化
ビジネスのグローバル化がすすみ、企業に多様化が求められていることも、チームワークが重要視される一因です。
交通網やネット環境の整備により、いま、ビジネスの相手は世界に広がっています。こういったビジネスのグローバル化に対応するために、企業は多様な人材の起用をすすめています。
その一方で、さまざまなスキルや知識、価値観をもつ人材が協働して動くのは容易なことではありません。多様な人材が一致団結して成果を上げるためにも、ビジネスにチームワークは必要不可欠でしょう。
チームワークの良い職場をつくるメリット
多くの職場で、チームワークを向上するための施策が取られているのは、チームワークが向上することによって得られるメリットがあるからです。
チームワークを良くすれば得られる代表的なメリットを、以下に4つ紹介します。
生産性の向上
チームワークが向上すると、業務生産性が上がります。企業にとって生産性の向上は、より多くの利益を生み出すことに直結する、非常に重要なものです。
どんなに優秀な社員でも必ず弱点はありますが、チームワークが向上することで弱点を補い合えます。そうすると、個々がもつスキルが生かされ、効率良く業務が進行し生産性がアップするのです。
チームワークが活性化しているとチーム内でのコミュニケーションも活発になるので、社員一人ひとりが自分の今やるべきことを把握しやすくなり、業務に関するムダもなくなります。
全員が同じ目標に向かって業務にあたれば、自然と大きな成果へとつながるのです。
モチベーションアップ
チーム意識が生まれると、自然と仕事に対するモチベーションもアップします。それぞれが、主体的に会社に貢献しようとするため、積極的に効率の良い仕事方法を模索するのです。
また、これまでは一人でこなせなかった業務でも、チームで行うことで達成につながります。目標の達成は、それぞれの社員の自信となり、さらなるモチベーションアップへと貢献してくれるでしょう。
社員の意欲を引き上げることができれば、さらに会社の期待に応えようと大きなプロジェクトへも挑戦します。その結果、先ほど紹介したように生産性の向上へもつながるというわけです。
良い関係性を築くことができる
チームワークが向上すると、お互いの弱点を理解した上でのサポート関係が生まれます。阿吽の呼吸のように、自然と役割分担ができるようになっていくのです。
チームワークにおいての重要なポイントは、「協力」「信頼」「指導」「尊敬」「サポート」といわれています。
難しいプロジェクトやこれまでできなかった業務をチームで乗り越えることによって、強い信頼関係が自然と生まれるでしょう。
信頼関係の構築は、やがて「協力」や「サポート」「尊敬」にもつながっていきます。お互いを尊敬し合ってサポートしていく好循環の環境になれば、より優れたチームへと成長していくでしょう。
解決能力アップ
チームで仕事をしていると、意見が対立するシーンも出てきます。いくら優秀なチームであっても、起こりうる事象です。これは、個人の考え方や習慣は異なるためであり、意見が対立するからチームワークが悪いというわけではありません。
チームワークが向上していれば、たとえ意見が対立したとしても、目標を達成するために何が必要かを考えることができます。単なる感情の押し付け合いではなく、個々の意見を尊重し合いながら解決できるのです。
この解決能力は、さまざまな業務で役立ちます。自分の意見をしっかりと相手に伝えることにもつながるでしょう。
チームワークの悪い職場の特徴
職場のチームワークが悪いと、業務にはさまざまな弊害が生まれます。ここでは、チームワークの悪い職場の特徴の中で、代表的な3つを紹介します。
紹介する特徴に当てはまる場合は早急に対処が必要です。自分の職場が該当していないか確認してみましょう。
人間関係が良くない
人間関係が良くないと、チームワークも悪くなるのは当然といえます。なぜなら、話し合う時間や、自己開示の時間を十分に取ることができないためです。
職場の人は友人ではないため、人間性や考え方を知る機会は多くありません。そのため、チームワークを向上するにはお互いを理解する時間を作る必要があるのです。
人間関係が良くないと生産性も低下してしまいます。1927年から5年間にわたって行われたハーバード大学の研究では、労働条件よりも職場の人間関係が生産性を向上させるという結果が出ています。これをホーソン効果 と呼びますが、生産性が落ちると組織は成長できず、離職率も上がりかねません。
役割分担が不明瞭である
役割分担が不明瞭だと、ひとりひとりがこなすべき業務も分からなくなるため、主体性がなくなり相談する習慣が身につきません。チーム内で誰が何を行っているかもわからず、お互いの進捗や取り組みに関心がなくなります。
役割分担がされていないと上司も各社員の業務を把握できません。そのため、モチベーション管理ができず、さらにチームワークは悪くなってしまうリスクがあります。
生産性の低下
チームワークが悪いと、生産性が低下してしまいます。組織で仕事を行っている以上、各社員がコミュニケーションを取りながら業務を進めていくのが理想です。
しかし、チームワークが悪いと、わからないことを相談できなかったり、コミュニケーション不足によるミスが生まれたりします。
生産性が低下するのは、組織にとって避けたい状況です。生産性の低下を感じたら、早急にチームワークを見直す必要があります。
チームワークの良い職場をつくるためのアクション
チームワークの良い職場を作ることは、組織の生産性向上、社員のモチベーションアップなど多くのメリットがあります。
では、組織にとって良い職場を作るためには、具体的にどのようなアクションをすれば良いのでしょう。ここでは代表的な7つのアクションを紹介します。
リーダーの配置
チームワークの良い職場をつくるためにはリーダーの配置が効果的です。リーダーを配置すると、各社員やチームの状況を客観的に把握できます。リーダーがいることによって、緊張感が生まれ、各社員のモチベーション管理がしやすいのもメリットです。
リーダーを選定する条件として、部下から信頼されている必要があります。経営陣や社長が選んでも良いですが、現場の部下から上司にしたい人を選んでもらうのもひとつの手です。
リーダーにはメンバーの価値観を受け入れる柔軟性が求められます。普段から積極低kにコミュニケーションをとり、チームメンバーの特性を把握しておくことが大切です。
情報のオープン化
チームワークの向上に必要不可欠なのは、全員がビジョンを明確にしておくことです。目標や目的がわからないままでいると、なんのためにチームで働いているのかわからなくなり、チーム一丸となることができません。
チーム内での情報をオープンにして共有し、一人ひとりがどのように仕事をすれば良いのか、コミュニケーションを取りながら確認していきましょう。
チーム全員が、それぞれの動きを把握することで、自分が今やるべきこと、次にやるべきことが明確化します。
困っているときにはヘルプを求める、余裕があるときには声掛けをするなど、それぞれが主体となって動けるようなチーム関係を構築しましょう。
目標・役割の設定
先ほども解説したように、ビジョンや目標、目的の共有は必須です。中でも目標は、チームとしての目標と、個々の目標の両方を設定しておくのが望ましいでしょう。
目標を設定するときは、具体的に細かくシミュレーションしながら決めていきます。目標が決定したら、できれば目標達成するための行動計画も作成しましょう。成功パターンだけでなく、失敗したときのことも考えておくと安心です。
また、無謀な目標ではなく、達成できる見込みがある目標を立てましょう。特に、個人目標の場合は、個人の能力とあまりにかけ離れた目標を設定すると、モチベーション低下につながる恐れもあります。
そして、個人目標は、チームの目標に関連したものを設定するように徹底しましょう。
課題の解決
さまざまな人材がチームに集まると、メンバー内の意見の対立や摩擦が生まれやすくなります。人間関係のトラブルはチームワークを損ない、目標達成の妨げになります。
メンバー同士の思考や習慣、仕事の進め方といった違いは、前向きに解決する姿勢を心がけましょう。
問題は積極的に掘り起こし、合理的で現実的な解決を目指すことが大切です。問題を解決するなかでかえってメンバー同士の結束が強まる可能性もあるため、ぜひ前向きに取り組んでください。
フィードバック
チームの成果を可視化するためにも、適切なフィードバックは重要です。業務によっても異なりますが、週に1回はフィードバックをする機会を設けるなど、あらかじめ決めておくと良いでしょう。
定期的にフィードバックを行い、それぞれの動きや成果を確認することで、チーム全体の能力を向上させることにつながります。
一人ひとりがフィードバックを通して次の問題を探し出すことで、常に自分を成長させていくことも可能です。
東京・ビジネス・ラボラトリーでは、企業サポートを通して、ビジネスシーンでのメンタルサポートが可能です。
心理学のメソッドを活用しながら学べるため、社員一人ひとりがもつ潜在能力が引き出せます。
メンタル面の強化はもちろん、コミュニケーションスキルの向上やモチベーションの向上、維持にも役立つので、チームワークの最適化につながるでしょう。
コミュニケーションの円滑化
コミュニケーションを円滑にすることでメンバーの帰属意識や一体感が高まり、チームワークの改善だけでなく、生産性の向上も期待できます。
普段のあいさつやフィードバックの機会を定期的に取るなど、日ごろからコミュニケーションをとりやすい環境づくりが大切な要素となります。
また、コミュニケーションを円滑化させる方法として、社内イベントや食事会があげられます。仕事からプライベートのことまで情報交換できれば、各々が打ち解けることができ、コミュニケーションを促進します。実施の目的を明確にしたり、参加を強制したりしないことも大切です。
多様性の尊重
多様性を尊重するとは、テレワークの導入や勤務時間の柔軟な設定など、さまざまな働き方を受け入れることです。
多様性を尊重することで、新たな発想が生まれやすくなります。新たな発想が生まれれば、組織としての生産性が向上し、チームワークもより強化されるのです。
また、妊娠・出産や定年など、ライフステージに合わせた働き方が可能になるため、優秀な人材を確保できたり、離職の機会を減らしたりすることができます。多様性が尊重された環境で働くことでモチベーションがアップし、チームワーク向上につながるでしょう。
チームワークにおけるリーダーの役割3つ
チームワーク不足によって起こる問題を未然に防ぐには、チームリーダーが必要です。
リーダーは次の3点に注意して、チームを導くことが求められます。
対等に交流できる環境づくり
リーダーの役割としてまずあげられるのが、メンバー全員が対等に交流できる環境作りです。平等で公平な立場で意見を交わせる雰囲気は、チーム内の円滑な情報共有のために欠かせません。
チーム内には知識量やレベル、経験値が異なるさまざまなメンバーがいるため、上下関係を意識させない環境を整えましょう。協調性をもってもらうための指導、人員配置や決定プロセスの見直しもリーダーの役割です。
リーダーもチームの一員なので、横柄な態度や乱暴な言動をするのはNGです。リーダーがお手本となり、メンバーを尊重する姿勢をみせましょう。
メンバーのケア
チームメンバーの心のケアも、リーダーの大事な役割のひとつです。一人でもモチベーションが下がればチーム全体に影響がおよび、企業の生産性にも影響を与えかねません。
チーム内の意見対立や不公平感から働きにくくなり、メンバーのモチベーションが下がってしまうケースは多いです。リーダーとしてメンバーのモチベーションの低下をいち早く察知し、適切なケアを心がけましょう。
メンバーの価値観や仕事の進め方は個人差が大きく、得手不得手は一人ひとりで異なります。自分の能力を生かせる割り振りでないと不満を抱え込むメンバーがでてしまうため、リーダーはそれぞれの個性を把握し、良い面を活かせる役割分担をしてください。
メンバーの育成
チームのメンバーを指導し、育成することも、リーダーの重要な役割です。
リーダーがメンバーに期待を寄せて自主性を尊重すると、良い意味での緊張感が生まれ、誰もがやる気になります。リーダーの期待に応えようと自然と努力をはじめるため、個々の潜在能力を最大限引き出すことができるでしょう。
また、リーダーはメンバーの業務内容を把握し、適切なアドバイスをする役割も担います。メンバーが目標を達成したとき、そのプロセスでも評価すべきポイントを見つけたら、積極的に褒めてメンバーの能力を伸ばしましょう。
リーダーがメンバー一人ひとりの能力を見極め、ふさわしい難易度の設定をすることも大切です。あわせてスキル向上の手助けもして、メンバーの育成に努めてください。
チームワークに役立つツール3種類
最後に、チームワークの向上に役立つツールを紹介します。
複数の機能を兼ね備えたツールも多いため、自社の課題解決に役立つ機能を厳選しましょう。
コミュニケーションツール
コミュニケーションツールとは、オフィス内でメンバー同士がスムーズに交流することを目的に作られたサービスです。
コミュニケーションツールを活用するとメンバー内の報告、連絡、相談の流れがスムーズにすすむため、チームワークの向上に役立ちます。
プライベートで使う、メールやSNSと同じ感覚でやり取りできるツールが主流です。代表的なツールとしては、Slack、Chatwork、LINE WORKSなどがあげられます。
仕事用のメッセージには業務関連の重要な内容が含まれるため、情報保護の観点から、社内用のコミュニケーションツールを活用する必要があります。プライベート用のツールとわけることで伝達ミスを防ぐことができ、社員同士で情報共有をするのにも便利です。
コミュニケーションツールを選ぶ際は自社で使っているPCに対応する、誰にとっても使いやすいものを選んでください。
目標管理ツール
目標管理ツールとは、仕事の進捗状況や目的の達成度を可視化し、チーム内で共有できるサービスです。
目標管理ツールはチーム内の目標達成の意欲を高め、メンバーが結束するのに役立ちます。
人事評価と直結したツールも多く、チームワークの向上だけでなく、人事情報の一元管理や人事に関する手続きの簡略化にも役立つでしょう。よく知られている目標管理ルールとしては、Goalous、Co:TEAM、ModifyHRなどがあげられます。
目標管理ツールには、大きく分けてふたつの種類があります。社員の目標達成の意欲向上につながる機能にフォーカスしたものと、経営理念の浸透やモチベーションアップといった、目標管理の精度向上を重視したものです。
機能もさまざまなので、自社の抱える課題や運用の目的などを明らかにして、ツールを選ぶことが大切です。
コラボレーションツール
コラボレーションツールとは、スケジュール管理や情報共有、コミュニケーション、タスク管理といった、プロジェクトの進行をすすめるのに必要な機能を幅広く盛り込んだサービスです。
社内だけでなく、取引先と共同で行うプロジェクトにも活用できるのが特徴で、遠隔地でも情報共有がしやすく、円滑なコミュニケーションを取るのに欠かせません。コラボレーションツールの代表としては、NotePM、Microsoft Teams、Google Workspaceなどがあげられます。
コラボレーションツールは幅広い機能を備えているため、自社にとって必要な機能を明確にして選ぶことをおすすめします。
ビジネスに役立つツール選びに迷ったら、東京・ビジネス・ラボラトリーの企業サポートの利用もご検討ください。
東京・ビジネス・ラボラトリーでは心理学のプロによるメンタルサポートを行っており、社員のメンタル力やコミュニケーションスキルを鍛えるセミナーも開催しています。
コミュニケーションの活性化やリーダーとしてのスキル習得にも役立ちます。チームワークの向上に悩んだときも、ぜひご相談ください。
まとめ
職場におけるチームワークは、業務を効率的に行うために必要不可欠です。チームワークの向上は、社員のモチベーションをアップさせるため、一人ひとりが生き生きと働ける職場へと変化するでしょう。