Z世代とは?新入社員が育ってきた環境
Z世代とは、1990年代半ば~2000年代前半ごろに生まれた世代を表す言葉です。インターネットが身近な環境で育った世代であり、それより前のX世代やY世代に効果的だった育成方法が、Z世代には通用しないことがあります。
Z世代を理解し正しく育成するためにも、彼らがどんな環境変化を体験してきたのかを知っておきましょう。
【誕生】1995年ごろ〜
Z世代が誕生した90年代後半ごろは、PCやインターネットが急速に普及し、社会全体が広くデジタル化・ネットワーク化した時期です。
また、小学校入学前に「完全学校週5日制」「絶対評価」が導入されるなど、学習環境も大きく変化しました。
【小学・中学時代】2005年ごろ~
Z世代が小学生・中学生だった2005年ごろからは、「個人情報保護法」によって多くの人のプライバシー保護の意識が向上しました。
また、2008年にはiPhoneが日本で発売されたり、同時期にFacebookやTwitterが登場したりと、デジタル機器やSNSが身近なものになっていきます。また、2011年にはLINEがリリースされ、コミュニケーションの手段も変わっていきました。
【高校・大学時代】2015年ごろ~
Z世代が高校生・大学生として過ごしていた2015年ごろからは、AIやIoT(Internet of Things:モノのインターネット)、ビッグデータの分析・活用などが普及し始めます。
これにより、さまざまな製品やサービスが目覚ましい進化を遂げ、利便性が大きく向上しました。SNSも多様化し、2017年には「インスタ映え」が流行語に選ばれています。
また、2018年に「働き方改革関連法案」が成立し、企業の職場環境も大きな変化を遂げました。
【就職活動・社会人】2020年ごろ~
Z世代が就職活動に勤しみ社会人になった2020年ごろは、世界中が新型コロナウイルス感染症に翻弄されていた時期でした。
大学の授業や就職活動がオンライン化しただけでなく、新入社員研修やその後の業務までオンライン化されて出社できないなど、これまでにない状況を体験しています。
Z世代の新入社員の傾向
インターネットの急速な普及や感染症など、Z世代はほかの世代にはない数々の体験をしてきています。そんなZ世代に合った育成方法を考えるためにも、Z世代の新入社員の特徴を把握しておきましょう。
保守的で安定志向な考えをもっている
Z世代は長く続く不況のなかで育ち、感染症などの自分ではどうにもできない状況に翻弄されてきたために、保守的で安定志向な人が多い傾向にあります。
失敗を嫌うためチャレンジするのが苦手だったり、自主性が低く受け身だったりというのもよくみられる特徴です。
また、インターネットで多くの情報を得てきたために、「自分よりすごい人はたくさんいる」と考えているなど、妙に現実的だったり冷めていたりすることもあります。無理をしたくないので出世は望まないという人も少なくありません。
自分の価値観を大切にしている
インターネットを介して多様な価値観や生き方に触れながら尊重してきたZ世代は、自分の価値観や自分らしさを大切にするのが特徴です。また、お互いの価値観を認め合って助け合い、自己の成長を求める傾向にあります。
承認欲求が強い
Z世代は幼いころからSNSに触れており、他人に評価される機会を多く経験しています。
そのため、他人の評価を気にしていて、「だれかに褒められたい」という承認欲求や「失敗したくない」という恐怖心が強いのも特徴です。
また、子どもの個性や自由を尊重する風潮から、あまり叱られ慣れていないため、叱られることに苦手意識をもっている人もいます。
情報処理速度が速い
子どものころから大量の情報に囲まれてきたZ世代は、情報処理速度が速く新たな情報もすぐに仕入れてきます。
情報を瞬時に判断して効率良く処理する能力が高いので、いかに作業効率を上げるかという発想をするのも特徴です。
対面でのコミュニケーションが苦手
学校の授業や就職活動などがオンライン化していたZ世代の中には、対面でのコミュニケーションを苦手とする人も少なくありません。
また、SNSやネット上のグループなど、自分が属するコミュニティを重視しており、公私の区別がはっきりしています。
その分コミュニティからはみ出したくないという意識が強いので、「相手の反応が怖くて報連相ができない」「意見を求めるのが苦手」という傾向にあります。
根拠のない指示や公平性を欠いた評価を嫌う
情報収集が得意なZ世代は、「この指示や命令は正しいかどうか」を判断するのも得意です。
そのため、一方的な指示・命令や公平性を欠いた評価を嫌うことが多く、目的や根拠が明確で納得感があるかどうかを重視します。
しかし、納得できなくても積極的に主張はしません。自分の価値観が尊重されない、快適に過ごせないと感じたら静かに距離を取るようになるでしょう。
コスパ・タイパを求める
世の中に溢れる情報を処理し、自分に必要なものを選び取って生活しているZ世代は、コストパフォーマンス・タイムパフォーマンスを重視しがちです。仕事でも効率性を求めており、無駄な作業を嫌がる傾向にあります。
自由な働き方を求める
就活や新入社員研修がオンライン化されていたZ世代には、自分のライフスタイルへの合わせやすさから、リモートワークやフレックスタイム制度を導入している企業が人気です。
また、不況下で育ってきたためひとつの会社に固執せず、副業や複業、転職などによって、スキルアップ・キャリアアップを図る人も多くいます。
勤め先の倒産など、常に万が一のことが起きる想定をしているので、資格やスキル、専門性を獲得してどこでも通用する人材になりたいという意識が強いのも特徴です。とにかく将来に対する不安の強さが目立ちます。
Z世代の新入社員を育てるコツ
育成の難しさが強調されることが多いZ世代ですが、彼らの考え方や価値観を踏まえれば、適切な接し方がみえてきます。ここでは、Z世代の新入社員を育てるコツを紹介します。
自分の「ありたい姿」を考えてもらう
自分の価値観を大切にするZ世代には、自分で考え動く機会を与えましょう。資格を取りたい、専門スキルを身につけたいといった意識は強いので、主体的にキャリアを考えるよう導くのがおすすめです。
業務の目的を明確に伝える
Z世代は目的がわからない作業を嫌がる傾向にあります。指示を出すときには目的まで詳しく解説し、モチベーションアップを図りましょう。
定期的にフィードバック・承認する
Z世代は承認欲求が強い人が多く、認められていないと感じるとやる気をなくしがちです。小さなことで良いので成功体験を積み重ねてもらい、うまくいったらしっかりと褒めて自己肯定感を高めると良いでしょう。
成長できる機会を継続的に与える
スキルアップを求めるZ世代には、担当以外の業務にもチャレンジさせてみるなどして、成長できる機会を与え続けるのが理想です。新入社員教育の内容を充実させる、継続して学べるように学習制度を整えるなどするのも良いでしょう。
下記の記事にて新入社員研修のクオリティを上げる方法を紹介していますので、あわせてご覧ください。
新入社員研修の内容を良くする方法は?注意点や助成金制度について
とはいえ、教育制度を整えるのには手間とコストがかかります。効率的に効果の高い研修を実施するなら、プロの手を借りるのもおすすめです。
東京・ビジネス・ラボラトリー(TBL)なら、心理学のメソッドを活かした新入社員研修により、Z世代ならではの悩みや不安も解消できます。Z世代の育成にお困りの際は、ぜひご相談ください。
Z世代にしてはいけないNG対応
Z世代の新入社員の育成には試行錯誤が必要ですが、やってはいけないNG対応が存在します。詳しくみていきましょう。
価値観の否定
Z世代は自分の価値観を重視する人が多い世代です。本人の価値観を否定するような言動は避け、相手の話をしっかり聞いて理解する姿勢を示しましょう。
失敗に対する批判や叱責
Z世代は失敗に敏感です。何かにチャレンジして失敗してしまったときに、必要以上に批判したり叱責したりするのは避けましょう。批判や叱責よりも、失敗した理由を分析し、冷静に伝えるほうが効果的です。
結果はどうであっても、チャレンジしたこと自体を褒めるとモチベーションアップに役立ちます。
カテゴライズを個人に当てはめた発言
Z世代の特徴は、すべての人に当てはまるわけではありません。変にカテゴリ分けされたりレッテルを貼られたりすることに敏感な世代なので、「Z世代はこう」と決めつけすぎるのも禁物です。
まとめ
Z世代は保守的、承認欲求が強い、自分の価値観を大事にするなどの特徴がみられる世代です。そうした傾向を把握したうえで新入社員の育成に取り組めば、スムーズに研修が進みます。
ただし、全員が上記のような特徴に当てはまるわけではないので、過度な決めつけや思い込みで接するのは控えましょう。